Tokyo Tokyo FESTIVAL Archive - 東京文化プログラム記録集
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1 平成22(2010)年4月1日から、公益財団法人へ移行ここでは、Tokyo Tokyo FESTIVALがどのように始まり、どのような経緯をたどってきたのかを振り返る。※本章では初出の事業名を太字とブルーの下線で表記 平成18(2006)年8月、東京都は2016年の第31回オリンピック・パラリンピック競技大会の国内立候補都市に決定した。 同年改正された東京都文化振興条例第17条に基づき、東京芸術文化評議会が知事の附属機関として設置された。初代の評議員には、建築家の安藤忠雄氏や狂言師の野村萬氏などが就任し、社団法人企業メセナ協議会会長の福原義春氏が会長に就任した。平成19(2007)年3月に第1回の評議会が開催され、世界文化都市・東京を実現するための文化戦略などとあわせて、都が招致を進めているオリンピックの文化プログラムについて知事より諮問を受けた。 評議会の下の「文化事業検討部会」での活発な議論を踏まえ、8月に開催された第2回評議会で文化プログラム事業が提案され、議論が行われた。ここで、「東京芸術祭」(提案当時は「国際舞台芸術フェスティバル」)や「六本木アートナイト」、「パフォーマンスキッズ・トーキョー」(同じく「とうきょうパフォーマンスキッズ」)などが提案されている。 平成20(2008)年、東京都と財団法人東京都歴史文化財団(以下「歴史文化財団」という。)1は、芸術文化団体やアートNPO等と協力して事業展開する、「東京文化発信プロジェクト」を立ち上げ、同財団内に、「東京文化発信プロジェクト室(以下「文プロ室」という。)」が設置された。文プロ室は、大規模なフェスティバルや市民に支えられた地域文化拠点づくりを通じて、東京の魅力を世界に向けてアピールすることを目指した。 同年6月、東京都はシカゴ(アメリカ)、リオデジャネイロ(ブラジル)、マドリード(スペイン)とともに、国際オリンピック委員会(IOC)の理事会において2016大会の立候補都市に選定された。 平成20(2008)年度に、「東京大茶会」「フェスティバル/トーキョー」「恵比寿映像祭」「六本木アートナイト」「キッズ伝統芸能体験」などの事業が開催された。これらの文化プログラムは以後、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症による中止を除き毎年度開催され、東京の文化を代表する事業となっている。また、文プロ室は、平成21(2009)年度、東京における多様な地域の文化拠点の形成を目指す「東京アートポイント計画」を開始し、地域社会を担うNPO法人等との協働でアートプロジェクトの展開を続けている。 なお、2016大会の招致活動は残念ながら実を結ばず、平成21(2009)年10月、開催都市はブラジルのリオデジャネイロに決定した。 平成23(2011)年度、文プロ室は、「世界的な文化創造都市・東京」を国内外にアピールするとともに、国内外の関係者が東京に集う事業を展開しネットワークを強化する「ネットワーキング事業」を開始した。 同年9月、東京都は2020年の第32回オリンピック・パラリンピック競技大会の国内立候補都市に決定した。そして平成24(2012)年5月、東京都はIOC理事会により、申請都市から立候補都市への決定を受けた。 同年11月、東京芸術文化評議会からの提言も踏まえ、世界的な文化都市東京の実現を目指し、独立性と専門性を有し、民間の優れた芸術文化活動を支援することなどを目的としてアーツカウンシル東京が歴史文化財団に設置された。アーツカウンシル東京は、助成を通して芸術文化活動を支援し、芸術創造環境を整えていく「支援事業」を柱に、人材育成事業や観光・地域活性化と連動した事業等先駆的な事業を実施する「パイロット事業」と、様々な調査研究、海外ネットワークづくり等により、芸術文化環境を整え、シンクタンク機能を充実させる「企画戦略事業」の3事業を柱に活動を開始した。 平成25(2013)年1月に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会がIOCに提出した立候補ファイルには、2016年招致をきっかけとして開始した東京文化発信プロジェクトをさらに発展させること、若手芸術家を支援する取組をさらに確かなものにすること、文化交流の促進、2012年ロンドン大会の「アンリミテッド」プロジェクトの成功の継承などがコンセプトとして記されている。 同年9月、東京都が2020大会の開催都市に決定した。 平成27(2015)年3月、東京都は「東京文化ビジョン」を策定するとともに、東京都芸術文化振興基金(100億円)を設置した。 文化から東京の未来を切り拓く、という思いが込められた「東京文化ビジョン」では、東京都がオリンピック・パラリンピックの招致を機に、文化政策や文化事業を大幅に強化し、史上最高の文化プログラムを実現して、2020年大会のレガシーとして東京を世界のどこにもない文化都市にするための戦略が示された。 さらに4月、都は、東京の芸術文化施策の中核的役割を担う組織としての体制と機能強化を図るべく、文プロ室とアーツカウンシル東京を組織統合することとし、事業を再編した。 そして、東京都の文化プログラムを先導するリーディングプロジェクト150Tokyo Tokyo FESTIVALの経緯2016大会招致と東京都の文化プログラムのはじまり2020大会の招致と開催決定東京大会開催決定後からリオ大会後まで1.3.2.

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