• どこでも共助

  • 参加しやすいボランティア活動

新しい日常へ
コロナウイルス影響下での
ボランティア活動

人と人が集まって、助け合いを続けてきたボランティア活動。新型コロナウイルスによって、これまでボランティアの支えとなっていた「人が集まること」ができなくなってしまいました。でも、ピンチはチャンスかもしれません。ひとりでも、どこにいても出来ることはあるはず。この状況だからこそ始まった新しい助け合いの形とは?ボランティア活動を続けるヒントとは?困難な状況で工夫し、活動を続けてきた3つの団体を紹介します。

1) “美味い”はコロナに負けない。
  指先から広がる共感の輪

テーブルインク「#新宿エール飯」

地域の食を応援する、
新しい助け合い(共助)の形

新型コロナウイルスによって大きな影響を受けた業界の一つが飲食店です。「3密」を避けるため、店内での飲食が難しくなったことから多くの飲食店が売り上げの大幅な減少など深刻な影響を受けました。危機に直面した地域の飲食店を応援しようというのが、SNSで広がっている「#エール飯」のプロジェクト。ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどに「#○○エール飯」というハッシュタグを添えて、お店でテイクアウトした料理の写真などを投稿するだけの仕組み。いつも使っているSNSで出来る気軽な発信が、その店を応援するだけでなく、地域の飲食店と応援したい人が一緒に地域の「食」をアピールすることにつながっていきます。
このプロジェクトの始まりは大分県別府市。3月18日に活動がスタートすると、全国で大きな反響を呼び、各地で同様のプロジェクトが広がっていきました。東京都でも八王子、青梅、自由が丘など、多くの街で活動が展開しています。

「#エール飯」は新宿でも始まり、大きな反響を見せています。「#新宿エール飯」を立ち上げたのが、4店のカフェを営むテーブルインクの代表、原和美(はら・かずみ)さんと夫の原広之(はら・ひろゆき)さん。「#新宿エール飯」に込められた思いや、新しい助け合い(共助)の形について話をうかがいました。(インタビュー:2020年6月15日)

原和美さん(右)と夫・広之さん
「#新宿エール飯」を広めようと作ったチラシ。新宿でも、「“美味い”はコロナに負けない。」と呼びかけた
5月から始めた夏野菜をのせたカレーのテイクアウトメニュー

新宿の食文化を守りたい
という思い

「4月の上旬に、インスタグラムを見ていたら、偶然にもタイムラインで別府エール飯のことを知ったんです。『“美味い”はコロナに負けない。』という、すごく力強い言葉に共感しました。新宿でも同じ試みができないかと思い、別府市の関係者に直接コンタクトを取り、快諾をいただきました」

デザイナーでもある広之さんは当時を振り返り、制作したチラシを見せてくれました。別府と同様のメッセージを使用し、写真を自分たちの店のお弁当に差し替えて、「#新宿エール飯」のロゴは広之さんが作成しました。取組を始めたところ、ビルの上の階に入居する飲食店も賛同してくれました。広之さんはそのお店のテイクアウトメニューの写真を使ったチラシもデザインしたそうです。一つのお店から始まった取組が、共感を得ながら次第に広がっていきました。

「#新宿エール飯」をどう広めるか、スタッフと話し合いをする原広之さんと和美さん

原さん夫婦は2007年に新宿5丁目で「move cafe」をオープンして以来、周辺で計4店のカフェを経営。4月の緊急事態宣言を受けて全店が臨時休業し、1店だけが日中にテイクアウトの営業を続けていました。苦境の中で「#新宿エール飯」に取り組んだ意図を、和美さんはこう語ります。

「家賃は発生するのにお客さんを待たなければならない飲食店は、非効率でつぶれやすい業態です。私自身、新宿という街には思い出が多く、好きなお店もたくさんあります。このままでは、多種多様な食文化を生み出してきた新宿の活気が失われてしまうと考えました。私たちのお店は5月末に営業を再開し、街も少しずつ元の生活に戻りつつありますが、コロナの第2波という心配は続いています。将来に万一そうなったときにも使える対策の一つが『#新宿エール飯』なのだと思います」

テイクアウトメニューを買いに来た方に、「#新宿エール飯」の取組を伝えるスタッフ

「#(ハッシュタグ)」のつながりを新宿の街に広げたい

原さんたちは「#新宿エール飯」の発起人でありながら、活動によって支援を受ける飲食店側の一員でもあります。和美さんは率直な思いを語ってくれました。「新宿という街を応援したいという気持ちで始めた活動なので、ボランティアだとは意識していなかったです。飲食店を経営する立場としては、『つながっている』ということが非常に大切だと思います。だから、お店に協力しようとか、新宿を一緒に盛り上げようとかいう気持ちをオンライン上で皆さんと共有できたのは、すごくありがたいし、うれしいと感じました」

「#新宿エール飯」でSNSに投稿したり、リツイートしたりする人々のほとんどは、原さんたちの顔見知りではないそうです。自分の知らないところで活動が新宿全体に広がっていった理由について、和美さんは「『あなたの好きなお店が、指先一つで救われる』というメッセージがわかりやすくて、やはりハッシュタグの力が大きかったのでは」と推測します。
そのうえで、SNSの持つ「つながり」の可能性について感じたことを教えてくれました。

カフェのテラス席。再開後は換気に気をつけている

「顔は見られなくても、オンラインでもお客さんとつながっているんだと、心強く感じました。応援してくれたお客さんを大切に、このつながりをもっと新宿の街に広げたい。お願いして投稿してもらうのではなく、『私も参加したい』と自分から思ってもらえるような『参加型』の取組になれば、もっと広がるのではないか、と考えています。応援してくださったお客さんたちに、ファンになってもらえるような店づくりをしたい。新宿の街を盛り上げる『#(ハッシュタグ)』のつながりをたくさん増やしていきたいです」

あたたかい雰囲気の店内

株式会社 TABLE inc.(テーブルインク)

新宿区内でコンセプトの異なるカフェ4店舗を営み、インテリアやメニューにこだわって、くつろげる空間を提供している。

住所:〒160-0022
   東京都新宿区新宿5-17-6 中田ビル2F

電話:03-6233-7782

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あたたかい雰囲気の店内

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MESSAGE テーブルインク代表 原和美さん・原広之さん 「Why」ではなく「How」で考えよう。コロナに限らず、自分に今何ができるか、新しい発見があるのではないでしょうか。MESSAGE テーブルインク代表 原和美さん・原広之さん 「Why」ではなく「How」で考えよう。コロナに限らず、自分に今何ができるか、新しい発見があるのではないでしょうか。

2) 支援を止めるな!
  一人ひとりの創意工夫を結集し危機に立ち向かう

2) 支援を止めるな!
  一人ひとりの創意工夫を結集し
  危機に立ち向かう

セカンドハーベスト・ジャパン
「marugohan」

まだ食べられるのにかかわらず、さまざまな理由で捨てられる運命にある食品を引き取り、必要とする施設や人々に配る「フードバンク」の活動。児童養護施設や生活困窮者の支援、食品ロス削減などの観点から、日本でも広がりを見せつつあります。日本初のフードバンクであるセカンドハーベスト・ジャパン(代表:マクジルトン・チャールズCEO)は昨年、食料提供拠点「marugohan」(まるごはん)を創設しました。

ところがコロナの影響によって、marugohanの特徴だったスーパーマーケット形式での食品提供が不可能に。配布方法を変更するなどの緊急措置を取りながらも、活動自体は休止することなく続けています。最も重要なのは、食料を必要とする人々への支援をストップさせないこと。スタッフやボランティアはアイデアを出し合い、試行錯誤を重ねています。(インタビュー:2020年6月11日)

セカンドハーベスト・ジャパンのマクジルトン・チャールズCEO。団体立ち上げから20年間、日本での活動を続けている

フードセーフティネットに
向けた“食の拠点”

2000年に活動を始めたセカンドハーベスト・ジャパンは、日本では当時なじみの薄かったフードバンクに取組、年間で約356万食分(2019年、1食を237グラムで換算)の提供を行っています。1800以上の企業などから食品の提供を受け、養護施設やDV被害者のシェルター、路上生活者への炊き出しなどに向けて配送。直営の拠点「パントリー」では、個人に対して食品を直接配布しています。

昔は、利用者には、選んでもらう食材半分、それ以外は、あらかじめ選んだ食材をパッケージにして渡していた

広報担当の和間久美恵(わま・くみえ)さんは、活動の目的をこのように語ります。
「『すべての人に、食べ物を。』が、私たちのスローガンです。経済状況にかかわらず必要なときに、誰でも食べ物を得ることができる社会を、フードセーフティネットの構築によって実現したいと考えています。そのためには、各地域に溶け込んだ“食の拠点”がまだまだ少ないのです。食の拠点の一つの形がパントリーであり、その可能性を示していきたいと考えています」

marugohanは2019年11月新しいスタイルのパントリーとしてオープンしました。既にパッケージされた食品を受け取るこれまでのパントリーと違い、利用者が買い物を楽しむように、並べられた食品からピックアップすることが可能。気軽に入れるようインテリアにも気を配り、カフェのようなポップな雰囲気になりました。さらに特徴的なのは、利用者が食品を受け取ると、その感謝の気持ちを自身が選択した社会貢献を通して社会に還元するというものです。気軽に入ることができ、必要な食品だけを受け取れるので、口コミで評判が広がっていました。

marugohanでは通常、スーパーマーケットのように食品が並んでいる。利用客はおのおの、好きな品を選べる仕組み。奥には冷蔵庫や冷凍庫も
marugohanの入り口。外から中の様子がわかる、開放感のあるつくりに
児童養護施設の子どもたちに、トラックに積んだ食料品を手渡すボランティアスタッフ

コロナで配布方法変更するも、需要は増加

2020年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってmarugohanも4月16日には食料提供方法の全面的な変更を余儀なくされます。感染拡大防止のため、週4日のショッピングスタイルの食料提供は、袋詰めされた食品を受け取るというスタイルに変更しただけでなく、時間帯ごとの予約制に変更。利用者には2メートルのソーシャルディスタンスを保って並んでもらい、身分証明書の提示や検温を求めるようになりました。

食品を提供するため、利用者(右)に個人情報を確認するボランティアスタッフ
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、利用者の検温をするボランティアスタッフ

その一方で、非常事態宣言下での利用者は増加。「1日に60~80人ほどだったのが、多い日には200人を超えました。給食がなくなって、シングルマザーを中心に子育て世代の需要が増えたようです。また、コロナ前は外国人の割合が約4割だったのが、コロナ後は約6割に逆転しました」と、和間さんは利用者の実情を説明します。

marugohanに向かって出来た利用者の列。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、間隔を空けて並ぶよう、ボランティアスタッフが声をかけていた

離れた場所からのアイデアが
事態打開の推進力に

いかに「密」を避け、利用者や運営スタッフ・ボランティアの健康を守りながら、安心・安全な形で食品を提供するか。今までにない事態を打開するために、セカンドハーベスト・ジャパンが重視したのが、スタッフやボランティアのコミュニケーションです。リモートを活用して毎朝ミーティングを行った効果について、和間さんは語ります。

「タイムリーな情報共有をすることによって、何が今、重要な情報なのかという判断も慣れてきたと感じています。たとえば、ソーシャルディスタンスが崩れたことがあればすぐにその解決のアイデアを出し合って、次回はその方法を試したり、フェイスシールドをどう確保するかを話しあったり。刻一刻と状況が変化する中で、自分たちがすべき行動を探り、変化させていくことができました」

ボランティアが密集しないように、食品のパッケージ化など物理的な作業の効率化についても検討を重ね、コロナ状況下に対応したオペレーションや感染防止のノウハウも蓄積することができました。marugohanのショッピングスタイルの再開など今後については、さまざまな状況を鑑みて判断するそうですが、「活動を継続することが我々の使命」と和間さん。

「体を動かしてボランティアに参加することは難しい状況が続きますが、それだけが貢献の方法ではないと思います。離れた場所からモバイルなどを使って、情報やアイデアを提供するのも、立派なボランティアです。一人ひとりが参画意識を持って意見を出し合えば、ワンチームのように、状況の改善に向かって進むことができる。みんなで決めたことの推進力は強いんだと、今回は気づかされました」

marugohanには企業からの寄付も集まっている。「お腹いっぱい食べてもらえるように」と大量の米が届いた
蒸しパン、米、ドレッシング…企業からたくさんの寄付が集まっている
marugohanのボランティアスタッフたち。笑顔でお迎えしている

認定NPO法人 セカンドハーベスト・ジャパン

日本でのフードセーフティネットの構築を目的として、食の支援を必要とする人々に食品の提供を無償で行う日本初のフードバンク。寄贈された食品を調理し、路上生活者など生活困窮者へ温かい食事を提供する「ハーベストキッチン」、個人世帯を対象に緊急食品支援を行う「ハーベストパントリー」、団体の全ての活動の基盤となる「フードバンク」部門は、品質に問題がないのに廃棄される食品を企業などから寄贈してもらい、児童養護施設の子どもたちやDV被害者のシェルターなどの団体に届けている。東日本大震災や熊本地震などでは被災者への物資支援も行ってきた。

住所:〒111-0053
   東京都台東区浅草橋4-5-1 水田ビル1F

電話:03-5822-5371

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参加する(この団体のホームページへ)

※食品や不要になった本・CDの寄付、ボランティア活動など様々な方法
 で参加できます

marugohanのボランティアスタッフたち。笑顔でお迎えしている

認定特定非営利活動法人 セカンドハーベスト・ジャパン

日本でのフードセーフティネットの構築を目的として、食の支援を必要とする人々に食品の提供を無償で行う日本初のフードバンク。寄贈された食品を調理し、路上生活者など生活困窮者へ温かい食事を提供する「ハーベストキッチン」、個人世帯を対象に緊急食品支援を行う「ハーベストパントリー」、団体の全ての活動の基盤となる「フードバンク」部門は、品質に問題がないのに廃棄される食品を企業などから寄贈してもらい、児童養護施設の子どもたちやDV被害者のシェルターなどの団体に届けています。東日本大震災や熊本地震などでは被災者への物資支援も行ってきた。

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電話:03-5822-5371

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※食品や不要になった本・CDの寄付、ボランティア活動など様々な方法で参加できます

認定特定非営利活動法人 セカンドハーベスト・ジャパン

日本でのフードセーフティネットの構築を目的として、食の支援を必要とする人々に食品の提供を無償で行う日本初のフードバンク。寄贈された食品を調理し、路上生活者など生活困窮者へ温かい食事を提供する「ハーベストキッチン」、個人世帯を対象に緊急食品支援を行う「ハーベストパントリー」、団体の全ての活動の基盤となる「フードバンク」部門は、品質に問題がないのに廃棄される食品を企業などから寄贈してもらい、児童養護施設の子どもたちやDV被害者のシェルターなどの団体に届けています。東日本大震災や熊本地震などでは被災者への物資支援も行ってきた。

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MESSAGE セカンドハーベスト・ジャパンCEO マクジルトン・チャールズさん 今は会うことが難しくても、皆さんからの励ましやアドバイスが私たちのエネルギーとなります。私たちは一人ではない。皆で協力すれば、必ず困難を乗り越えることができると信じています。MESSAGE セカンドハーベスト・ジャパンCEO マクジルトン・チャールズさん 今は会うことが難しくても、皆さんからの励ましやアドバイスが私たちのエネルギーとなります。私たちは一人ではない。皆で協力すれば、必ず困難を乗り越えることができると信じています。

3) 活動の本質を見つめ直し、
  新たなコミュニケーションに取り組む

3) 活動の本質を見つめ直し、
  新たなコミュニケーションに
  取り組む

世田谷・みっと
「せたがや子ども食堂・みっと」

東急世田谷線・松原駅前にある小さなカフェ。ここで毎月第2、第4木曜日、地域の子どもたちに夕食の提供を続けてきたのが、「せたがや子ども食堂・みっと」です。子どもたちに栄養を提供するだけでなく、他人とのコミュニケーションを育む場所として、地域でも大切な役割を担ってきました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、食事提供は一時的に弁当の配布へと切り替えましたが、それも4月には中止することになりました。その後は、子どもたちに手紙を送るなどの新しい取組をスタートさせ、本来の活動ができない代わりに何をすべきかを模索しています。困難な状況の中で、これからの支援をどう考えていくかについて、子ども食堂を運営する「世田谷・みっと」事務局長の井上文(いのうえ・あや)さんに聞きました。(インタビュー:2020年6月11日)

夏にはスイカをくりぬいて、フルーツポンチを作った

コミュニケーションを学ぶ場
としての子ども食堂

「みんなで、一緒に、楽しく、食べよう」の頭文字「mitt」が、「せたがや子ども食堂・みっと」の由来。貧困などの理由で食事に困っている子どもたちを支援しようと、カフェのオーナーである井上さんら地域の女性が集まって、2015年11月に子ども食堂をスタートさせました。

利用する小中学生は毎回15人程度。一人で来る子どもが多いですが、小さな子どもを抱えてくる母親もいます。「子どもたちの健康のために」と有機野菜が寄せられます。寄付や差し入れの食材を中心に、彩り豊かなメニューをスタッフが調理。たとえば、直近の開催となった2月13日には、北海道の食品会社から送られてきた魚のかば焼きのほか、三鷹市の農園の大根、埼玉県の菜園のブロッコリー、地元の米屋から寄付された米などを使った料理を提供しました。

愛媛の支援者から差し入れられた柑橘類をみんなで食べ比べて、人気投票するイベントも
普段は月2回、みんなで食卓を囲む

食後は、子ども同士でカードゲームを楽しんだり、スタッフとおしゃべりしたりして過ごします。「最初は上手に会話をすることができない子も、みんなで一緒に食事する中で、少しずつコミュニケーションの取り方や人との付き合い方を育んでくれたらと考えています」と、井上さんは活動の意義を説明します。

カードゲームで遊ぶ子どもたち

食事の代わりに手紙を送り、
つながりを継続

3月から学校が一斉休校になり、子どもたちは給食を食べることができなくなりました。「みっと」では、集まって食べる食堂を開催せずに、お弁当のテイクアウトを週2回実施することで、子どもたちへの食事提供を継続。しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大したため、子どもたちやスタッフの健康リスクを考慮して、同月末からお弁当の配布も中止することを決めました。その代わりに4月から始めたのが、子どもたちに手紙を送ることです。

食堂に集まれなくなり、コミュニケーションをとるために子どもたちに送った手紙

「食堂を開かないということは、子どもたちとの関係がプツッと切れてしまうわけです。みんなが集まる場があってこその『みっと』ですが、その場がない今は、食事ということにこだわらなくてもいいのではないかと思いました。そこで、コミュニケーションを継続するための手紙を、いつも来る子供たちに送ろうと考えたのです。食堂の開催と同じ月2回のペースで送り、マスクも同封したりもしました。子どもたちからかわいいお返事が届くと、私たちも励みになります」

手紙とともに、スタッフが作った折り紙の箱や、フリーズドライのみそ汁、マスク手作りキット、返信用のはがきも送った
子どもたちからは、休校中の家での過ごし方などをつづった返事が届いた

第1回の手紙では、カラフルな石を並べるというドイツの遊びを紹介。苦境をみんなで乗り切ろうという思いを込めて、子どもたちに楽しく過ごすアイデアを問いかけました。コロナが終わるまではツリーの飾りを作っている、という返事をくれた子どももいて、井上さんは思いをこう語ります。「『学校に行けないのはつらいだろう』というのは大人たちの思い込みで、子どもたちはのびのびとした発想で、その時々で楽しみを見つけています。家庭で実際にどう過ごしているかは、なかなかわかりません。ただ、子どもにとって手紙を書くことは、自分の頭の中を整理して、自分の意志を相手に伝えるという二つの力を培うコミュニケーションの場になる面もありますので、そういう形でのコミュニケーションは続けていきたいですね」

毎月発行しているニュースレター(上)と、新年の年賀状(下)

役割の変化をコロナで再認識、
新たな試みも

「実は先ほど(6月11日夕)、子ども食堂の再開に向けて、スタッフとリモートで打ち合わせ会議をしたところです。広くない店なので、人数を制限するか、予約制にするかなどを話し合い、結論は持ち越しになりました。新しい『みっと』のあり方をどうすべきか、『一緒に食べよう』ということをどのように続けていくのか、これからも考え続けていくことになりそうです」

子ども食堂の運営を通じてスタッフのみなが意識していたのが、子どもの貧困は経済的な問題だけではないということ。家庭でのネグレクトや、周囲とうまく関係性を築けないなどの問題もあり、子どもがコミュニケーションを育む場としての「みっと」の役割を、今回のコロナで再認識することとなりました。「子どもたちに携わることで、私たちが一番学び、成長させていただいたのかもしれません」と井上さん。6月からは、世田谷区社会福祉協議会を通じて、これまで目の届かなかった困窮家庭への経済的サポートも始めることになりました。

毎月、その月に生まれた子どもたちをケーキでお祝いする

「困っている人を助けようと思うと、ときには自分がやりたくないこともやらなければならないのがボランティアです。そのときに一人ではどうしても難しく、チームで力を合わせないとできないこともあるのも確か。今後はどう取り組んでいくかについて、オンラインなどを使って三密を避けながら、コミュニケーションは密にして議論を深めることも求められると思います」

みっとの入り口には、訪れた子どもたちが毎回、思い思いにコメントや絵をかいた看板が飾られている

せたがや子ども食堂・みっと

2015年から東急世田谷線松原駅前にあるコミュニティカフェで毎月2回、子どもたちに夕食を提供する「子ども食堂」を開いている。地域や全国からも食材の支援が寄せられる。「みんなで(m)・いっしょに(i)・たのしく(t)・たべよう(t)」をモットーに、みんなで一緒に食事をすることを通じて、食事の楽しさ、他者への思いやり、人と人とのつながりを大切にすることなどを伝える活動に取り組んでいる。

住所:〒156-0044
   東京都世田谷区赤堤3-3-15 seema seema(シーマシーマ)内

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あたたかい雰囲気の店内

せたがや子ども食堂・みっと

2015年から東急世田谷線松原駅前にあるコミュニティカフェで毎月2回、子どもたちに夕食を提供する「子ども食堂」を開いている。地域や全国からも食材の支援が寄せられる。「みんなで(m)・いっしょに(i)・たのしく(t)・たべよう(t)」をモットーに、みんなで一緒に食事をすることを通じて、食事の楽しさ、他者への思いやり、人と人とのつながりを大切にすることなどを伝える活動に取り組んでいる。

住所:〒156-0044
   東京都世田谷区赤堤3-3-15 seema seema(シーマシーマ)内

せたがや子ども食堂・みっと

2015年から東急世田谷線松原駅前にあるコミュニティカフェで毎月2回、子どもたちに夕食を提供する「子ども食堂」を開いている。地域や全国からも食材の支援が寄せられる。「みんなで(m)・いっしょに(i)・たのしく(t)・たべよう(t)」をモットーに、みんなで一緒に食事をすることを通じて、食事の楽しさ、他者への思いやり、人と人とのつながりを大切にすることなどを伝える活動に取り組んでいる。

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MESSAGE 世田谷・みっと事務局長 井上文さん 今までの当たり前はコロナによって、必ずしも当たり前ではなくなりました。社会の中で課題と感じることに対して、自分は何ができるのか。それぞれの発想力にかかっています。MESSAGE 世田谷・みっと事務局長 井上文さん 今までの当たり前はコロナによって、必ずしも当たり前ではなくなりました。社会の中で課題と感じることに対して、自分は何ができるのか。それぞれの発想力にかかっています。