プロフィール・略歴
あばれる君(あばれるくん)
1986年生まれ。お笑い芸人。2008年の「大学生お笑いアマチュア選手権大会」での特別賞受賞をきっかけに、お笑いの世界へ。2015年、「R-1ぐらんぷり」決勝進出。2019年5月にYouTubeチャンネルを開設、ゲームの実況などを配信。登録者は15万人に。大学時代に教員免許を取得、芸人になる前にフリースタイルのラッパーをするなど多彩な経験を持つ。
このインタビューは学生記者の大谷津元が担当しました。
現在の仕事について
お笑いを通じて誰かの役に
最近は、仕事を通じて「誰かの役に立ちたい」と考えながらお笑い芸人をしています。昔は「自分が有名になりたい」という気持ちが強かったですが、今は変わりました。SNSで「子どもが笑いました」「夫婦喧嘩(げんか)が収まりました」なんてコメントをいただくと、本当にうれしくて、やりがいを感じますね。
ピン芸人として一人で活動し、お笑いの先輩や周りの人に助けられてばっかりで。変な言い方ですが、それにはもう飽きたというか……助ける側、少しでも貢献する側になりたいです。2016年に長男が生まれ、親になったこともその理由かもしれません。ロケで子どもたちを相手にするときも、感謝や喜びを伝えるようにしています。
芸人としては体一つで勝負する意識で、シンプル・イズ・ベストです。仕事上のこだわりは体調管理をしっかりすること。遅刻しない、仕事に穴を空けない。何より、他人のせいにしないことも身上です。
テレビ以外にも表現の場として、最近は自分のYouTubeチャンネルで映像を投稿しています。「フェイク・ドキュメンタリー」のような手法が好きで、真面目そうな動画でもどこか絶対にふざけています。とにかく面白いものを届けたいですね。
今の仕事に就いたきっかけ
目立ちたがり屋
教員免許も取ったけど
小学6年生まではプロ野球選手が夢でした。でも中学に入ったらすごくうまい子がいて、野球はあきらめて、お笑い芸人に決めました。「爆笑オンエアバトル」とかお笑い番組をよく見ていたし、目立ちたがり屋だったんですよ。芸人って歌も歌えるし俳優もできるし最強だって思っていました。高校の文化祭ではステージに立って物まねなんかをやって、ものすごく受けたりして。そのころ今の妻とも出会いました。
昔からアウトドアや音楽も大好きで、高校では登山部キャプテンとしてインターハイに出ました。大学では親が教員だった影響もあり、社会科の教員免許も取っています。それと在学中にフリースタイル(即興)バトルのラッパーもしていました。
在学中に東京・八王子の舞台付きの居酒屋で修行をしつつ、芸人を目指しました。大学4年の9月には、学生のお笑い大会で受賞して、特待生で養成所に入れることになりました。当時、スーツを着て就活をしている同じ学年の子たちとすれ違うと、「自分はサラリーマンとは逆の道に行くんだなぁ」って不安も感じたけど、何よりお笑いをしたい気持ちが強かったですね。
売れるまではアルバイトもして、バイト中に人間観察をしました。そこで見た人たちの仕草や話し方をネタに取り入れたりして、バイトも貴重な時間でした。
これまでの人生の山と谷
「いつか売れる」ではなく
「明日売れる」
まず、スベった時はへこみます。精神的に大変です。大事な収録でネタが飛んで(ネタを忘れて)、ネタ帳から破っておいたメモを、とっさにポケットから取り出そうとしたら、前日に行ったコンビニのレシートが出てきたこともあります(笑)。こうした失敗以外にも、番組の企画でアメリカに行き「怒った牛を避ける」場面の収録とか、大変だった経験はいろいろありますけど……。2011年の東日本大震災では特に落ち込みました。
実家は福島県で、親類も亡くなったんです。そういう大変な時に、親からしたら僕が真剣にお笑いをやっていても、遊んでいるようにしか見えない状況で。「やめたほうがいいのか」と悩んだりもしました。
だから震災以降、ある意味、いよいよ「本気でやらないとまずいぞ」と思ったんです。「これで飯を食わないといけない」と覚悟して、「いつか売れる」ではなく「明日売れる」と信じていました。
2013年にネタ番組「日10☆演芸パレード」の勝ち抜きバトルで優勝した瞬間は本当にうれしかったです。自分が書いたネタが全国に届いて、お茶の間が笑っているというのがすごく不思議で。お笑いやめなくてよかった~、やめられないな~と思いましたね。
同じ年に、初めて仕事で飛行機に乗って海外ロケに行った時のことも覚えています。こんな自分のために席を用意してくれた人たちがいるんだと思うと……もう、自分が飛行機になった気分でした(笑)。じんわりうれしかったですね。
これから目指すこと
人を巻き込み
子どもたちを幸せに
今後は人を巻き込んでいきたいと思っています。特に、子どもたちを幸せにしたい。
子どもって本当にかわいいし、子どもが喜ぶと親も喜ぶじゃないですか。一石二鳥だなって。将来、自然のテーマパークみたいな場所を作ってみたいですね。ツリーハウスで子どもたちが遊べるような施設です。
芸人としては、トークばかりじゃなくて、これからもネタを作り続けたいです。YouTubeとかでの映像表現も含めて、面白いものを届けていきたいですね。
オフの過ごし方+生活と仕事の両立
仕事の合間 家族とテレビ電話
休日は子どもと遊びます。仕事のことを考えるのはやめて、朝から休んで、遊びに集中します。子どもと一緒に切り絵やゲームを楽しんでいます。
それと仕事がある日でも、例えば数時間スケジュールが空けば、いったん家に帰ったりしています。あと、楽屋にいる時や移動中に、1日に数回は家族とテレビ電話をしていますよ。
家族と過ごす時間を大事にしています。妻はこれまで仕事がうまくいかないときも、ずっとそばで「大丈夫だよ」と励ましてくれた存在です。看護師をしていて、経済的にも頼った時期がありました。相方のような存在というと失礼かもしれませんが、本当に癒やしですね。
若者へのメッセージ
アンテナを立て 夢を描こう
若い人には、とにかく好きなことやっていただきたいです。多少周囲が反対しても、押し切るくらいの気持ちで。僕はそうでした。自分が選んだ道なら、どうなっても幸せじゃないですか。
なりたいものがあるなら、そこに向かって階段を登るつもりで頑張ってほしいです。目標に向けて、一段一段、精一杯。やるべきことを積み重ねることが大事ですよね。1日1歩でも、1年で365歩ですから。
夢が具体的にわからないという人でも、いろんなことに興味を持てるようにレーダーを張り、アンテナを立ててほしいです。自分が行き着きたい場所や、どう社会に貢献したいかというイメージを少しでも持ち続けていれば、いざという時にも決断できると思います。
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