社会貢献を楽しむ  
そのために自分を磨く
不動産メディア×ボランティア
山野 翔太さん
インタビュー:古川遥

プロフィール・略歴

山野翔太(やまの・しょうた)
1989年生まれ。リクルート住まいカンパニーで住まいサイトなど新サービスの戦略立案に取り組む。新卒時にはコンサルティング会社に入社、コンサルとして経験を積む。27歳で現在の会社に転職。プライベートでは、仕事のスキルを生かして取り組むボランティア「プロボノ」としても活動する。

このインタビューは学生記者の古川遥が担当しました。

現在の仕事について

自分が社会にインパクト
手応え感じる

仕事中の山野さん

不動産メディア事業において、事業推進のためのさまざまな戦略を立てるチームでプロジェクトリーダーをしています。例えば、お部屋探しサイトに掲載する不動産広告はどんなコンテンツにしたらいいか。不動産会社の方にはどういった提案をしたらいいか。サイトのシステムを作る部門の人や、営業を推進する部門の人と協力しながら、サイト全体の仕立てを整理しつつ、戦略を練っています。

他には、決済システムに関わる新サービスを考えたり、もっと便利な使い方がないか検討したりするのも、自分の仕事です。どちらも規模の大きな事業なので、自分が社会にインパクトを与えることができるという手応えを感じられます。

今の仕事に就いたきっかけ

「支援者から当事者に」
思い募り転職

文系卒の学生は、入社後に職種が決まる“総合職採用”が多いんですよね。だから、入る前から職種が決まっていて、かつ、「深く思考する仕事がしたい」という自分の希望に合う、コンサルティングやマーケティング系を中心に就職活動をしていました。

最終的に入社したのは、中小規模のコンサルティング会社です。既存の仕組みができあがってしまっている大手よりも、中小規模の会社で、会社の成長と合わせて自分も成長していく方が良い経験になると思ったことが決め手でした。

入社してからの4年間は、新規事業の立案やクラウドサービスの導入支援など、さまざまな業界のコンサルティングプロジェクトに関わり、仕事のおもしろさも感じていました。同期と2人、コールセンターの業務がより効率的になるシステムを自主的に作ったこともありました。自分が作った新しい仕組みが誰かの役に立ち、自分の手を離れた後も上手く回っているのは、すごくうれしかったです。

ただ、あくまでもコンサルは支援者の立場。いろいろリサーチをして、事業の内容や戦略を考え、資料を作って提案をするところまでが自分の仕事で、実行するのはクライアントの仕事ということが多いです。

年々、「自分も実際の意思決定に関わりたい」「支援者ではなく、当事者になりたい」という思いが強くなり、転職を決意。今の会社は、部門問わず誰でも新規事業を提案できる制度があったりと、かなりユニークな会社。取り組む意義を示すことができれば、好きなことをできるところが、自分に合っていると感じています。

これまでの人生の山と谷

プロボノ活動で
視野が広がった

プロボノとして活動する山野さん

学生時代から社会に貢献したいという思いがあり、3年前から「プロボノ」活動を始めました。「プロボノ」とは、自分の仕事上のスキルを生かして行うボランティアのことです。

初めて参加したプロジェクトは、安全に食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品を必要としている人に届ける「フードバンク」を行なっているNPOの支援でした。自分が参加したのは一定期間ですし、政策提言や世論形成のための資料を作る程度の小さな関わりでしたが、食品廃棄や貧困という社会課題の実情を目の当たりにし、実際に社会を変えるために動かれている方々と知り合えたのは、貴重な経験でした。

その後、ニュースで「食品ロスの削減の推進に関する法律」が成立したことを知り、「社会を変えるとはこういうことか!」と強い衝撃を受けたことを覚えています。今では、会社での日々の業務でも、何かを考えるときは「これは世の中に貢献しているだろうか」と意識するよう心がけています。

学生時代の山野さん

27歳で今の会社に転職した直後に、新サービスの立ち上げに関わることになりました。当時は業界知識が乏しく、社内での仕事の進め方に不慣れだったこともあって、かなり苦労しました。

なかなか貢献できないもどかしさがあったものの、徐々に業界のことや会社の文化、仕事の進め方がわかってくると、チーム内で自分がどのように立ち回るといいのかがわかるようになりました。

全体を見て、自分が何をすべきか考えるのは、何も仕事の場だけで必要なスキルではありません。「プロボノ」でも、いろんな会社のいろんな立場の人たちが、様々なモチベーションで参加しているので、自分がチームの中で何ができるかは常に考えています。

これから目指すこと

おもしろくて、
取り組む価値のあることをしたい

プロボノで出会った仲間と活動する山野さん(左)

仕事でも、「プロボノ」のようなボランティア活動でも、「おもしろい」「取り組む価値がある」と自分が思えることにずっと関わっていくのが理想です。そのためには、取り組むべきテーマや貢献したいプロジェクトに出合ったときに十分な成果を発揮できるよう、日頃からスキルを伸ばしたり、経験を積んだりしておく必要があります。

自分の仕事のスキルを生かして行う「プロボノ」は、ある意味、現在の自分の能力を測るバロメーターとしても機能しているので、自分が理想とするキャリアを歩めているかの確認のためにも、長く続けていきたいです。

 

オフの過ごし方+生活と仕事の両立

妻とのんびり
プロボノは趣味のよう

アート鑑賞が趣味なので、美術館に出かけて絵画を眺めていると幸せを感じます。自宅で妻と2人でのんびりテレビを見たり、ゲームをしたりするのも、とても大切な時間です。

「プロボノ」活動は今では趣味のようになっていて、コンスタントに続けています。もうちょっと短い時間で仕事の成果を上げられるようになると、もっと多くの時間を妻や「プロボノ」のために使えるはずなので、オフのためにも、仕事の能力は磨いていきたいところです。

若者へのメッセージ

仕事を利用して
楽しい人生を

お金のためだけに働くとか、仕事が人生の第一優先事項であるとか、もはやそういう時代ではなくなってきています。この流れはきっとこれからどんどん加速していくので、キャリアという言葉を単に“職務経歴”とは捉えずに、楽しい人生設計のための一つの手段として考えるとおもしろいんじゃないかなと思います。

つまり、自分の価値観やライフスタイルに合う生き方をするために、仕事をどう利用できるかという視点で考えてみるということです。リモートワーク、副業、フリーランスと、働き方も多様化しているので、自分の理想の人生を送るためにぴったりな職業と働き方はきっと見つかるはずです。