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広報・広聴

平成27年度 広報紙部門 総評

公開日:平成28年(2016)3月4日更新日:平成28年(2016)3月4日

大井委員

 平成27年は終戦から70年ということもあって、政府やメディアによって節目の年を迎えた様々な回顧や記念の行事が行われたことは記憶に新しい。国政やナショナルなメディアの国際関係を視野に入れた回顧や行事だけでなく、自治体レベルでも足元を照らす様々な観点からの多種多様な形式で行事が行われたようだ。それは今年の応募作品から十分うかがうことができ、直接的にそれに言及するわけではないものの、明らかに70年の歴史的意義を意識した企画記事も散見された。平和祈念の企画、平和都市宣言(地域の歴史を掘り起こした大田区の作品)、平和啓発事業などにかかわる記事は、いずれもしっかりとした問題意識に基づく十分構想の練られた記事で読み応えがあった。これらの企画は、地域に焦点化した歴史的な回顧や地域の歴史的資源を掘り起こす試みとも相通じ、節目の年らしくこれまた問題意識の確かさがうかがえる記事にみるべきものがあった。

 評者の専門に引き付けて戦後70年を振り返ると、戦後米国から導入されたパブリックリレーションズ(PR)は、この70年の間いかなる発展を遂げたのか、ということになろうか。敗戦後、連合国総司令部の占領政策の中で、GHQから新聞に様々な指導があった。民主的社会において新聞が果たすべき役割から客観報道の原理の徹底まで、強制力をもった指導がなされた。管見によれば、このときPRやマス・コミュニケーションの概念が日本に入ってきたのである。マス・コミュニケーションはやがて約められて、似て非なる「マスコミ」に転じたが、パブリックリレーションズはどうであっただろうか。広報パーソンの間にはそんな理解はないが、PRをいまだに広報紙を発行すること、宣伝・広告と同義と心得ている自治体職員は意外にいるのである。PRは70年の歴史を経て今いかなる状況にあるのか、そもそもの意義だけでなく改めて問い直す意味は決して少なくないだろう。

 さて本題に戻って、今年の審査の作業の中で、新しい試みに出会った。それは豊島区の試みで、広報紙を二つの異なる版として発行するもので、これまで類似の試みがなかったわけではなかった。しかし、豊島区は、広報紙のリニューアルで区政情報やイベントを掲載する情報版と、ヴィジュアルを重視して特集テーマを掘り起こす「特集版」の二本立ての試みを始めた。1号の中で二つの要素を盛り込むよりもむしろ思い切って二つに分けてしまった。面白い試みと見るのは、記事はそのジャンルによって、また世代や生活のスタイルによって、閲読の環境が異なることに思い至って、広報紙のリニューアルを図ったのではないか、と思えるからである。広報紙のフォーマットの変化は、当たり前だが読み方だけでなく、読み手すら変えることを理解すべきであろう。広報紙にとってある種のマンネリズムも重要だが、大胆な紙面改革の試みも重要なのである。紙面がどのように読まれるかに注目する必要がある。

 最後になったが、今年の審査を通じて今更ながら気づいたことは、重要なテーマや主題は、手を替え品を替え、様々なアプローチで繰り返し、執拗に追いかける必要がある、という当たり前のことであった。子育て、健康、感染症、高齢者の認知症、防災など広報紙に繰り返し取り上げられるそうした話題は決して少なくない。常に基本に立ち返って、自分の仕事を見直し、新しい気持ちで課題に取り組む、ごく当たり前のことであった。先のパブリックリレーションズの原点の問い直しと同様、基本(basics)に立ち返る必要性を痛感した今年のコンクール審査であった。いうまでもなく、この問いは当然のように評者にも跳ね返ってくることをしかと受け止めねばならない。

長岡委員

行政と住民とのコミュニケーションメディア広報紙として、

広報担当者と住民が共に紙面作りを協働する紙面編集に挑みたい。

 自らアクセスするWEB・SNSとは異なり、全世帯に配布される行政広報紙は、今も広報活動の主力メディアの一つである。一方で、各世帯には、DMをはじめ様々な広告物及び広報物が届く。そのような環境の中にあって、いかに住民の目を広報紙に惹きつけ紙面を閲読していただくかは、広報担当者の編集の腕にかかっていると言えよう。

 今回の応募作に目を転じると、住民の目を意識した紙面を多く目にする事ができる。

 その例として、特集紙面が挙げられよう。特集の企画内容も、親子で楽しめる企画、地域で活躍する住民にスポットを当てた企画、地域活性化策として特産品のブランド化を取り上げた企画、災害施策を取り上げ保存版として利用できる企画等、住民に様々な情報を分かり易く伝えるための特集と編集手法が考えられていた。

 紙面編集では、可読性に配慮した紙面表現が施され、施策情報と生活情報を区分するタイトルが設定されている。住民が読みたくなる情報検索が容易に行える紙面構成と編集である。文章も短文で構成され読みやすく、住民に情報が伝わる文章である。一方、見出し文章は、告知型の見出しが多く見受けられる。訴求情報に応じて、住民に呼びかける・問いかける等、見出し文章の工夫も一部の紙面で望まれよう。

 紙面表現は、写真・イラスト等を巧みに用いて、住民に紙面に注目させるための視覚表現を考えた魅力ある表現となっている。情報の内容に応じて変化する紙面表現が見受けられ、メリハリのある紙面表現が多くの応募作で目にする事が出来る。向上する表現スキルが見て取れる。また、どの応募作も他の広報メディアへの告知が掲載され、広報紙が他のメディアを繋ぐハブメディアとして活用されている。全世帯に配布される広報紙の媒体特性を活かした広報活動と言えよう。

 今回のコンクール審査は、スキルの高い編集紙面が多く、レベルの高い選考となった。広報の発信者と読み手である住民視点での2つの視点を重視し、コンクール入選作の選考にあたった。ただ、選外に漏れた応募作にも、キラリと光る編集紙面が数多く見受けられ、選考に苦慮した事を付け加えたい。

 最後に、直接に住民の手に渡る広報紙は、行政と住民を繋ぐコミュニケーションメディアと言えよう。応募作の一部には、大学生が紙面作りに参画した広報紙が見受けられた。様々な施策に行政と住民が協働を図る事が重要となっている。その観点から、コミュニケーションメディアである広報紙も、訴求情報によっては広報担当者と住民が共に紙面を作る協働した紙面編集が望まれよう。広報担当者は、住民への広報効果を高めるために、絶えず新しい紙面作りを心がけたい。

このページに関するお問い合わせ先

広報広聴部  広報課 
電話番号:03-5388-3087