令和3年度 入選作品 一枚写真部門
公開日:令和4年(2022)2月16日更新日:令和4年(2022)2月16日
最優秀
足立区「あだち広報」9月10日号(第1863号) 1ページ
審査員コメント
- 瞬時に「I love you」の手話を選んだという仲良し親子。最高の笑顔が印象的です。少し気になったのが開放値F2.8。背景をぼかす意図でしたが、2人が若干前後しているために少女の顔のピントがどうにか許容範囲。とはいえ、笑顔がそれに勝る効果を生んでいる素敵な1枚です。一見、何気ない親子スナップですが、情報を知り見方が変わりました。この点に、写真とコピーとで情報を伝達する広報誌作りの難しさ・面白さがあるように感じさせられました。(箭内)
- とても力強い表紙です。親子の笑顔とポーズに目が吸い込まれますし、被写体と背景のバランス、光の回り方、被写界深度、印刷での再現と、すべての要素が高いレベルで整っています。レイアウトに関しても、写真の良さを生かすフォントと文字組になっていて見事です。
撮影者は委託事業社とのことでその起用が当たったのはもちろん、紙面文字の「あだち区報」の「ち」の字を写真にかぶせるなど、広報誌全体のレイアウトが現代的かつ見やすいものになっていて、神経が行き届いているという観があります。改善すべき点は特に見当たりません。(鳥原)
掲載紙面
一席
練馬区「ねりま区報」10月21日号(第1951号)1ページ
審査員コメント
- 句の特産品練馬大根、農業の魅力、少年の心躍る様子。それらが凝縮された素敵な1枚です。その写真とシンプルなタイトルが明快にマッチして、秀逸な表紙となっています。
技術面では、横位置で緑の畑を広範囲に撮影しデザイン作業をし易くしている点、浅すぎない絞り、動く少年に配慮した高速Sスピードなどに、撮影者の意図が感じられ、好感が持てました。(箭内) - 農業区のプライドというものを感じる、シンボリックかつ力強い写真です。男の表情が収穫の喜びを伝えていますね。また、シャッターのタイミングも良かったと思います。なによりトリミングが成功しています。
元の写真を見ると横位置でやや高い、おそらくカメラマンの目線から見下ろして撮影していたことが分かります。この写真は客観的に対象を説明するという表現になっています。それをトリミングによって、親しみを感じさせるイメージに仕立てている。被写体目線で撮影した縦位置の写真も撮っておられたのかどうか、気になるところです。(鳥原)
掲載紙面
二席
千代田区「広報千代田」4月20日号(第1542号)16ページ
審査員コメント
- 昨年の千鳥ヶ淵の桜の見事さは噂に聞いていました。その満開の桜とお堀の様子を巧みに切り取った作品です。
スワンボートの顔の向きや、陽光の当たり方にも配慮されたことでしょう。F10まで絞り込んでいることで、奥の桜にも存在感があります。リードはシンプルですが、区民への思いやりが感じられます。メッセージと写真の美しさがマッチした、素敵な1枚です。(箭内) - 一言で言えば”適切な写真”です。バランスの取れた構図で光の回り方も適切です。春らしい柔らかな青空に「また、来ようよ」というコピーは希望を感じさせます。写真として唯一惜しいのは、遠景にある高いビルが目立っている点ですが、それも千代田区の特色でもあります。掲載意図を読むと、ずいぶん苦労をされているのが分かりました。記憶に訴えるということで、工夫して控えめな表現になっているのですね。
コロナ禍は、広報とはどのような役目かを考えさせる機会のようです。(鳥原)
掲載紙面
二席
瑞穂町「広報みずほ」12月1日号(第719号)1ページ
審査員コメント
- ソーラン節で男子児童が躍動する様子、真剣な表情が見事に表現された1枚です。人の顔が見えない今、マスク無しの表情には、何とも言えぬ安心感を覚えます。
町公式キャラクター「みずほまる」と紫色を纏った生徒がうまくマッチしています。これが意図的であったなら、恐らく印刷工程でもその紫色をしっかりと出す、といった配慮があったはずで、それらの仕事には大変好感が持てます。シンプルですが印象に残る素敵な表紙です。(箭内) - 被写体の表情、シャッターチャンス、画角、構図、露出、ボケの使い方など、ほとんどが高いレベルで決まっていますね。「力強さ」の表現と言う点において必要十分以上の効果を発揮しています。
敢えて一言加えるとすれば、水平ラインがやや右下がりになっていること。これが独特の印象を生んでいるとは言えますが、安定感を損ねているとも受け取れます。広報誌の性格上、安定感は大切かと思います。もし原画の通りだとすればトリミングで調整すると、画面が切れてしまう。つまり少し画角に余裕を持たせて撮影したいところです。(鳥原)
掲載紙面
奨励賞
目黒区「めぐろ区広報」11月1日号(第2122号)1ページ
審査員コメント
- まず、モデルさんが一般区民と知り驚きました。2人ともとても良い表情で、リラックスしているように見えます。モデルに一般区民を起用したとは思えないほどよい表情です。区民参加の広報としても工夫された取組です。撮影者のご努力が伺えます。特集の難しいテーマを分かり易く伝えたいという制作意図が紙面から感じられました。ただ、「未来の私へ」といったキャプションがあれば尚よいとも思いましたが、ここはあえて意図的に記さなかったのでしょうか。写真自体に力があるので、キャプションを載せても差し支えなかったように感じました。(箭内)
- よく考えられた写真と構成だと思います。しっかりとした撮影計画をたてている成果が出ています。モデルさんの表情に目が引きつけられます。ほぼ、当初の意図が達成されているのではないでしょうか。掲載意図に「何の記事だろうか?」と思って貰えることを狙ったとありますが、これこそヴィジュアルコミュニケーションの基本です。
改善点としては、レイアウトデザインがやや弱いことです。例えば「みんなでつくる未来への計画書」はもう少し大きくしても良いと思います。(鳥原)
掲載紙面
奨励賞
稲城市「広報いなぎ」1月1日号(第1337号)1ページ
審査員コメント
- まさに話しかけてくるような牛の表情が可愛らしい、ユーモラスな1枚です。この一瞬を得るために根気強く待ち続けた撮影者の努力が十分に察せられます。市民の皆様もこの表紙を目にして、きっと朗らかな気持ちで新年を迎えられたのではないでしょうか。
丑年と市制50周年を見据えた明確な意図のもとに準備し、写し込まれた1枚。撮影データもこの条件下において的確です。文字の配置によりあえて2頭を目立たせるレイアウトにも工夫が見られます。見る人をハッピーにさせる秀逸な広報表紙です。(箭内) - 向かって左の牛を主役にし、その顔を下から煽って強調。さらにあらかじめ右側に文字を入れることも想定して構図している。撮影のためにあらかじめ取材もしていたこともグッドです。その準備が生きましたね。制作意図がはっきり伝わってきます。
ただ、その意図を一枚で全部見せようとしてはいませんか? 画面全体が少し窮屈です。要素を絞り込むことも必要ですね。キャプションの文字数が多いのと、暗い場所での撮影で牛が少し潰れてしまっているところもあり全体的に見づらくなってしまっています。この場合、もっと左の牛の表情を大きくしても良いと思います。さすれば露出も安定するはずです。(鳥原)
掲載紙面
審査を終えて
審査員のお二人から全体を通じたコメントをいただきました。
- 最優秀の足立区の作品は、紙面をイメージして綿密に考えて撮影され、広報紙の表紙としても目を引く力強い作品である点を評価しました。
- 露出やシャッタースピードなど、もっと技術面の向上を期待したい作品もありました。
- 一方で、広報紙として印刷したときにどのような紙面になるか、写真と印刷とのマッチングや文字のレイアウトなども念頭に置いていただきたいです。
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