生き方に迷ったら  
目の前のことに集中
タレント・女優
山之内 すずさん
インタビュー:小原悠月

プロフィール・略歴

山之内すず(やまのうち・すず)
2001年生まれ。タレント・女優。高校時代に、SNSにあげた写真がきっかけでスカウトされ、芸能活動をスタート。2019年、恋愛リアリティーショー「白雪とオオカミくんには騙されない?」に出演し、中高生の間でカリスマ的人気を得る。SNS総フォロワー数は96万人(2021年2月現在)。雑誌、テレビ番組のほか映画などにも出演。

このインタビューは学生記者の小原悠月が担当しました。

現在の仕事について

ポジティブな感情
たくさん出合えた

2019年に恋愛リアリティーショー「白雪とオオカミくんには騙されない?」に出演してからは、「サンデージャポン」、「ヒルナンデス!」など、テレビを中心にたくさんのお仕事をさせていただいています。

中でも、2020年秋に公開された映画「人狼ゲーム デスゲームの運営人」は、私にとって特別な作品です。熱意と愛情をもってみんなで一つの作品を作り上げていく過程がとても輝いて見えましたし、自分がそのチームの一員になれたこともすごくうれしかった。

仕事への向き合い方、意識も大きく変わりました。現場では、自分の意見を言ったり、他の出演者の方やスタッフさんのお話を聞いたりする機会が多くて、学ぶことばかり。監督から、「いま話題の子だから、ではなく、オーディションの演技が良かったから選んだ」と言ってもらえたことも、とても印象に残っています。

自分を認めてもらえた。受け入れてもらえた。そんな、これまでに感じたことがないようなポジティブな感情にたくさん出合えました。

今の仕事に就いたきっかけ

1枚の写真 関係者の目に留まって

スカウトのきっかけとなった
インスタグラムの投稿写真

高校2年生のときに地元・神戸でサロンモデルをした写真をインスタグラムにあげたところ、それを見た事務所の方からスカウトされました。今は約28万人のフォロワーがいますが、当時は「このインスタ、誰が見てくれてるんやろ?」くらいの感じだったから、よく見つけてもらえたなぁと思います。

そこからはあっという間でした。インスタに写真をあげたのが2018年4月、スカウトされて事務所に所属したのが8月、秋頃には“オオカミくん”への出演が決まり、12月にはその撮影をしていました。

思い返すと、幼なじみの存在も大きかったです。サロンモデルをやるか悩んだときも、スカウトされて迷っていたときも、「やってみてもええんちゃう?」と背中を押してくれました。

高校2年生ともなると、周りの子はみんな進路について具体的に考えて動き出しているのに、私は漠然と「人を助ける福祉系の仕事がしたい」という気持ちがありながらも、バイトや日々の生活に追われて何の準備もできていなかったんです。

いろいろな人とのご縁があって今に至りますが、この仕事に就けていなかったら、自分はきっとあのままなんとなくで生きていたはずです。

これまでの人生の山と谷

いつも「今が一番幸せ!」
でありたい

高校卒業を待たずして上京した選択自体は正解だったものの、誰も知り合いがいない東京での一人暮らしは、最初はかなりつらかったです。お金もないし、やることもないし、そもそも一人行動が得意じゃない。お休みの日に遊びに行く人がいないから、ずっと引きこもっていました。あの頃は、お休みの日よりも仕事がある日の方が待ち遠しかったです。

私は“幸せを更新し続けること”が人生の大きな目標なので、ピークはこれからもどんどん更新される予定です。やりたいこともたくさんあります。演技ももっとがんばりたいし、結婚もしたいし、旅行もたくさんしたい! 20代のうちに、何か資格もとれたらいいな。今の仕事がなくなったらどうしようっていう不安も、安心材料があれば和らぎますし。

仕事でもプライベートでも、自分が何をしたいのか主体的に考えられるようになったのは、社会人になってからです。高校生の頃は将来に向けて何かしなきゃという気持ちはあっても、じゃあ何をしたらいいのかがわからなかった。

撮影現場で様々な立場の人のお話を聞いたり、仕事の幅が広がって自分で選択をする機会が増えたりしたことで、だんだんと自分で考える姿勢が身についていきました。

何をしたらいいか迷ったときは、他の人の生き方や働き方を参考にしてみるとか、とりあえず目の前のことに集中して取り組んでみるといいのかも。私も、主体性がなかった時期は基本的には、良い意味で「イエスマン」になって、何にでも挑戦していました。

これから目指すこと

好きになれた自分の声
仕事に生かす

テレビのお仕事が増えたおかげで、近頃はインスタグラムやTikTokで私のことを知った若い人だけでなく、幅広い年代の方に声をかけてもらえるようになりました。「元気をもらったよ!」と言われることが、仕事の一番のやりがいになっています。

今後増やしていきたいのは、ラジオとか、声のお仕事。私は声が低いので、自分の声が好きじゃなかったんです。でも、「声が好き」と言ってくれる方がちょこちょこいたから、好きになれた。人前でしゃべるのも苦手意識があったけど、私の話で元気になったというメッセージをもらえたことで、話すことが楽しいと思えるようになりました。

自分の好きなことが、自分に向いているとは限らない。向いていないと思っていたことでも、やってみたら意外と……ということは結構あります。

私の人生の軸は“幸せであること”ですが、この軸さえブレなければ、何を選択しても失敗ということはなくて、途中どんなルートをたどったとしても、最終的には自分の望むゴールに向かっていけると信じています。

オフの過ごし方+生活と仕事の両立

家に帰ったらリセット
失敗も忘れる

家でリラックスする時間を大切にしています。オンとオフの切り替えがしっかりできないと次の仕事にも影響しちゃうので、家に帰ったら着ていたものはとりあえず全部脱いじゃう! それでリセットというか、仕事の失敗もペイッと忘れるようにしています。

昔はお休みの日はカーテンも開けずに一日中アニメや映画を見ていましたが、今はちゃんと起きるし、ごはんも作るし、お風呂にもつかるようになりました。毎日太陽の光を浴びて、きちんとごはんを作っていると、メンタルはかなり安定します。

若者へのメッセージ

年上と話せば
気づきがある

最近は番組出演が続き、食事は収録の合間に取ることが増えた

18歳で社会に出てみて感じたのは、「年を重ねるだけで大人にはなれるけど、主体的に将来のことを考えないと自分が満足できる人生にはならないんだな」ということ。

自分の人生をデザインするのは楽しいことだと気づくタイミングは、人それぞれです。友達の中には、子どもの頃からずっと絵が好きで、進学先も絵が描けるところに決めた子もいましたが、世の中にはかつての私のように何も決められずにいる子も多いと思います。

そもそも私は、世の中にどんな仕事があるのかもわかってなかったんです。将来の夢が漠然としすぎていると、決められないんですよね……。だから、いろんな仕事があるんだと具体的に知ることは、すごく大事。そうやって選択肢を増やしていけば、自分でキャリアを選ぶ楽しさも感じられるはずです。

行き詰まったら、自分より年上の人と話してみるのもおすすめですよ。本当に、みなさんいろんな生き方、働き方をしているので、思いもよらないような気づきがあります。