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男女平等参画・女性の活躍推進

第5期東京都女性問題協議会最終報告(平成11年8月11日)

公開日:平成16年(2004)9月30日更新日:平成16年(2004)9月30日

東京都知事
石 原 慎太郎 殿

東京都女性問題協議会
会長 樋口 恵子
 

男女平等参画の推進に関する条例の基本的考え方について

 平成10年7月9日、知事から協議を依頼された「男女平等推進基本条例(仮称)の基本的考え方について」、次のとおりまとめましたので、報告いたします。

目次

はじめに1

第1 条例の必要性 3

  1. 男女平等参画の現状 3
  2. 東京都が条例を制定する意義 4
  3. 条例制定によりめざすべき社会 5
  4. 条例制定の効果 6
  5. 法律との関係 7

第2 名称7

第3 条例に盛り込むべき内容8

  1. 前文 8
  2. 目的 9
  3. 都、都民、事業者等の責務 9
  4. 基本的施策等 10
  5. 男女平等参画の促進 12
  6. 性別による権利侵害の禁止 13
  7. 審議会 14
  8. 都民からの申し出 14

おわりに15

[ 参考資料 ]

  1. 東京都女性問題協議会設置要綱
  2. 第5期東京都女性問題協議会委員名簿
  3. 協議依頼文
  4. 第5期東京都女性問題協議会開催状況
  5. 東京都男女平等推進基本条例(仮称)検討骨子
  6. 東京都男女平等推進基本条例(仮称)検討骨子に対する都民意見(まとめ)
  7. 男女共同参画社会基本法

 はじめに

 本報告書は、都知事の協議依頼に応えて、第5期東京都女性問題協議会が、男女平等参画の推進に関する条例の基本的考え方について検討した結果をまとめたものである。ここに、当協議会は、この報告書の内容に基づいて東京都が全国に先駆けて本条例を早急に制定するよう強く要望するものである。
 1975(昭和50)年の国際婦人年以来、東京都は男女平等政策に積極的に取り組み、東京都女性問題協議会は、9期にわたり(東京都婦人問題協議会を含む)、東京都男女平等行動計画の内容等に関する提言を行ってきた。すでに1997(平成9)年の報告書において当協議会は男女平等推進基本条例の制定を提言している。
 本報告書は、検討骨子を提出した1998(平成10)年12月以降、3回の都民会議における意見、都民からの文書による意見などに配慮しながら、専門部会と総会で協議を重ねて作成したものである。
 本年6月、男女共同参画社会基本法が成立し、男女共同参画社会の実現は21世紀のわが国社会を決定する最重要課題として位置づけられた。基本法に記されたように、少子高齢化の進展、社会経済情勢の急速な変化に対応することはもちろん、未来に向けて安全な環境を確保し、国際平和を実現するために、男女の平等な参画の必要性は、すでに国際社会の共通認識となっている。その実現のために、国のみならず、人々の生活の場である自治体の果たすべき役割は大きい。
 特に東京都は、国際都市として、日本の首都として、メディアの集中する情報発信地として、大企業の集中する産業都市として、より先導的な条例を制定する責務がある。そして、都民にとって身近な生活の場である自治体として、より具体的・実質的に、男女平等の人権を尊重し、女性の参画を進める条例を制定する必要がある。より普遍的な人権に根ざして、より具体的な男女の平等をめざして、当協議会は条例の名称を「男女平等参画基本条例」とした。
 本報告書に基づく「条例」によって、東京都が、都民女性・男性にとって、自分自身の人生の夢を育てる場となり、女性と男性が対等なパートナーシップを形成し、共に意思決定に参画することができる自治体として、より発展することを期待している。
 男女平等参画の推進は、新たな世紀と千年紀の到来に対応する基本的な施策であり、それは都民と東京都の新たな発展につながるものである。

第5期東京都女性問題協議会
会長  樋 口 恵 子

第1 条例の必要性

1 男女平等参画の現状

 日本国憲法に男女平等の理念がうたわれてから半世紀が経過した。この間、1975(昭和50)年の国際婦人年を契機に、国内行動計画の策定をはじめとして、国際的協調のもとに男女平等推進に向けた様々な取組みが行われてきた。法制度の面でも、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の批准に伴う国内法の整備として、男女雇用機会均等法制定や国籍法改正等が行われ、最近では男女共同参画社会基本法が制定されるなど、男女平等の基盤づくりが進んできている。
 しかしその反面、多くの領域において、個人や団体による男女差別が、いまだに事実として存在している。
 固定的な性別役割分業意識は、なお支配的であり、男女間の経済的基盤の格差も解消されないままとなっている。
 夫から妻に対する暴力や、職場等におけるセクシュアル・ハラスメントなど、女性に対する人権侵害は、ようやく被害の実態が明らかになってきた段階である。また、われわれの生活の中でかなりの比重を占めている社会の様々な制度や、長年にわたって反復して行われている慣行の中には、男女の一方にかたよった影響を及ぼしているものが数多く存在している。
 このように、様々な面において、今なお男女平等は十分に実現されているとはいえない。
 また、公的分野、私的分野を問わず、あらゆる分野における政策・方針決定過程への参加、すなわち「参画」は、男女共同参画社会基本法にもうたわれ、その重要性が注目されているが、わが国における女性の参画は、国会や地方議会における女性議員の比率等を見ても、諸外国に比べて大きく遅れている。
 こうした状況を考慮して、今後さらに、男女平等の一層の推進を図り、男女がともに対等な立場で参画できる社会の実現をめざして、男女平等参画の視点に立った取組みを強化していく必要がある。

2 東京都が条例を制定する意義

 東京には、政治、経済、メディア、交通等の機能が集中している。特に東京は企業が集中する経済の中心地であり、日本に住む外国人の約2割が居住する国際都市でもある。
 それだけに、女性が多様な生き方を選択できる機会が多いが、その反面、メディアが発信する男女の固定的役割表現や、数多い風俗産業による性の商品化が目立つ地域でもある。それらの影響によって、女性に対する暴力をめぐる問題が多発しやすい環境にある。
 また、全国を上回るスピードで進むと予測されている少子高齢化や、地域の人間関係の希薄化などにより、今後、東京における子育てや介護をめぐる環境は一層厳しくなることが予測される。このように、東京の女性が抱える様々な問題は、複雑かつ深刻である。
 最近の景気の後退と相まって、東京の社会・経済・文化的活力は弱まっている。東京が間近に迫った21世紀に豊かで活力ある都市として再生するためには、女性も男性も、すべての都民がその個性や能力を十分に発揮できるシステムと風土を築かなければならない。
 したがって、都においては、男女平等参画に向けた取組みを強化し、総合的、計画的に推進する必要がある。
 首都として、1,200万の人口を有するわが国最大の自治体として、都は常に他の自治体から注目を集めている。都が男女平等参画の促進に向けて、条例の制定という先進的な取組みを行うことは、他の道府県や区市町村へ大きな波及効果を及ぼすであろうと期待される。

3 条例制定によりめざすべき社会

 東京都は、条例を制定し、男女平等参画社会の実現をめざしていくべきである。条例の制定によりめざすべき男女平等参画社会とは、次の3つの理念が実現される社会である。

  1. 性別により差別されたり、固定的な役割を強制されたりすることがなく、男女とも人権が尊重される社会
    現実の社会の中では、今なお性別による差別や性に起因する暴力が行われている。男女の一方に固定的な役割を求める傾向も根強い。差別や暴力、そして性別による役割の強制は、人権軽視の表れである。これらをなくすためにも、男女それぞれが、ともに一人の人間として人権を尊重される社会を実現する必要がある。
  2. 自立した個人として、一人ひとりがその能力を十分に発揮でき、多様な生き方が選択できる、自己決定権の確立された社会
    女性も男性も、一人ひとりが持つ能力を十分に発揮することは、活力ある豊かな社会の形成につながる。そして、個人がその能力を発揮するためには、自分がどのような生き方をするかを、自ら決定できることが重要な鍵となる。誰もが、自分自身が選んだ生き方で、能力を発揮できる活力ある社会が求められる。
  3. 男女が、家族的責任並びに社会的責任をともに担うことによって、あらゆる分野における活動に対等な立場で参画し、責任を分かち合う社会
    男女が社会のあらゆる分野の政策・方針決定過程に対等な立場で参加し、協力し、責任を分かち合うことは、すべての意思決定の内容を、両性の視点からバランスのとれたものとするだけでなく、新しい価値観によって再生させることになる。それは、女性のみならず男性にとっても、働きやすく、生きやすい、ゆとりある社会につながる。そのためにも、男女が、性別役割分業を超えたパートナーシップを確立していくことが求められる。

4 条例制定の効果

 条例の制定は、男女平等参画促進に向けた東京都の強い意思表明となる。これは条例制定の持つ大きな効果の一つである。また、条例の制定過程を通じて都民の議論を喚起するとともに、男女平等参画について都民の理解を深めることができる。
 男女平等参画促進は行政だけで進められるものではない。条例を制定することにより、男女平等参画促進に向けた行政、都民、事業者等の責務を明確にし、三者が一体となった取組みを推進することができる。
 都は、条例を制定することによって、都が実施する様々な分野の施策に男女平等の視点を導入することをさらに進め、同時に、都が実施している男女平等参画に関連する施策を条例のもとに体系づけることができる。

5 法律との関係

 国においては男女共同参画社会基本法が制定された。しかし、男女平等参画を促進するためには、国だけではなく、自治体の取組みが不可欠である。条例の制定は基本法が定めている地方公共団体の責務につながるものであり、都が男女平等参画の促進に向け、総合的に施策を展開する際の根拠となる。

第2 名称

 東京都は、「男女平等推進のための東京都行動計画」(平成10年3月)にも用いられているように、従来から「男女平等推進基本条例(仮称)」という名称で、条例の制定についての検討を進めてきた。その後、男女共同参画社会基本法が制定されたことから、同法で用いられている「共同参画」という表現も合わせて、条例の名称について検討した。
 都は、「女性問題解決」及び「男女平等推進」のため、1978(昭和 53)年の第一次行動計画を皮切りに、今まで4次にわたる行動計画を策定してきた。第一次行動計画では5つの柱のうち第一の柱を「男女平等観にたった人間形成の推進」とし、また第二次行動計画以降も、行動計画の名称に「男女平等」という言葉を盛り込むことによって、男女平等を都の施策の中心に位置づけ、様々な取組みを推進してきたところである。
 しかし、長年にわたる取組みにもかかわらず、今なお男女平等は十分には実現されていない。このような現状を考慮すると、都は、今まで以上に「男女平等」の理念を掲げ、その実現に向けた取組みを推進していく必要がある。そのためにも、「平等」という言葉を条例の名称に盛り込んで、都の姿勢を示すべきである。
 一方、国の法律の名称に用いられた「参画」が重要であることは言うまでもない。男女共同参画社会基本法についての男女共同参画審議会答申は「男女平等を実現するためには、公的分野、私的分野を問わず、あらゆる分野における女性の意思決定への参加、すなわち参画が極めて重要であり、この点を強調する必要がある」としているが、本条例の検討においても、同様の議論がなされた。あらゆる分野における意思決定に両性の立場からの意見を反映させるためにも、「参画」という言葉を本条例の名称に盛り込んで、都の姿勢を示していくべきである。
 以上述べてきたように、条例には「平等」と「参画」という2つの言葉を盛り込み、名称を「男女平等参画基本条例」とすることが適当である。

第3 条例に盛り込むべき内容

1 前文

男女平等参画を推進するための法制度が整備されてきた経緯と、今なお実態として男女平等が十分には実現されていない状況を認識したうえで、

  1. 性別により差別されたり、固定的な役割を強制されたりすることがなく、男女とも人権が尊重される社会
  2. 自立した個人として、一人ひとりがその能力を十分に発揮でき、多様な生き方が選択できる、自己決定権の確立された社会
  3. 男女が、家族的責任並びに社会的責任をともに担うことによって、あらゆる分野における活動に対等な立場で参画し、責任を分かち合う社会

をめざすという、男女平等参画の基本理念を宣言し、都の取組みの方向及び男女平等参画社会を実現する決意を、前文において示すこと。

2 目的

 この条例の目的は、男女平等参画の基本理念を明確にし、その実現に向けて、都、都民、事業者等の責務を明らかにするとともに、施策の基本的な事項を定め、施策を総合的かつ効果的に推進すること、とすべきである。

3 都、都民、事業者等の責務

 男女平等参画社会を実現するためには、都、都民、事業者等(※)が互いに協力しながら取組みを進めていく必要がある。取組みにあたっては、社会における制度又は慣行が、男女平等参画を阻害するような影響を及ぼすことのないよう、三者それぞれが可能な限りそれらを見直し、是正するよう努めること。
(※)事業者等とは、営利法人、営利を目的とした個人、公益法人、その他のNPOや自治会などを指す。
 都、都民、事業者等の責務として、次の事項を規定すること

(都)

  1. 都は、男女平等参画社会の実現に向けた施策を総合的、計画的に実施する。
  2. 都は、男女平等参画について、都民、事業者等の理解が深まるよう、必要な普及啓発を行う。

(都民)

  1. 都民は、男女平等参画についての理解を深め、男女平等参画社会の実現に努める。
  2. 都民は、都の行う男女平等参画社会の実現に向けた施策に協力する。

(事業者等)

  1. 事業者等は、その事業活動に関し、男女平等参画社会の実現に努める。
  2. 事業者等は、都の行う男女平等参画社会の実現に向けた施策に協力する。

4 基本的施策等

 都は、男女平等参画を推進するにあたり、行動計画を定めて、以下に述べる施策を総合的、計画的に実施すること。

行動計画

 都は、男女平等参画社会の実現に向けた施策を、全庁的に推進していくために男女平等参画推進のための東京都行動計画を策定すること。策定にあたっては、都民、事業者、区市町村等の意見を反映すること。
 また策定した行動計画を広く公表すること。
 行動計画は、社会情勢の変化等に対応するため、必要に応じて改定されること。

 当協議会では、行動計画に盛り込むべき施策の具体的項目について、条例において例示的に列挙すべきであるという意見と、社会の情勢の変化に迅速に対応できるようにするために、条例では例示せず、行動計画で定めればよいという意見が出された。
 いずれの方法を選択する場合でも、行動計画に盛り込むべき施策の内容については、第4期東京都女性問題協議会報告書が指摘する事項を踏まえて、特に、男女平等参画を推進するための学校、地域、家庭等における教育、メディアにおける男女平等意識の形成(※)、女性に対する暴力の根絶に向けた取組みの推進、雇用の場における均等な取扱いの推進、職業生活と地域・家庭生活の両立のための環境整備などが盛り込まれるように要望する。
(※)メディアについては、メディアが差別的意識を助長しているという側面と、メディアからの発信によって男女平等意識を醸成していかなければならないという側面がある。前者の改善と後者の促進に努めなければならない。

情報収集及び分析

 都は、男女平等参画推進のための施策を効果的に実施していくために、男女平等参画に関する情報収集及び分析を行うこと。また、都民、事業者等の理解を深めるため、その成果を広く提供すること。

年次報告

 都は、男女平等参画に関する施策の推進に資するために、男女平等参画の現状及び施策の実施状況を明らかにする年次報告を作成し、広く公表すること。

国及び他の地方自治体等との協力

 都は、男女平等参画を推進していくため、国及び他の地方自治体との連携に努めること。
 また、都は、区市町村、都民、事業者等が、相互に連携して男女平等参画を推進するよう努めること。

5 男女平等参画の促進

 性別を問わず、すべての人が、政治や職場、地域等あらゆる分野の政策・方針決定過程に参画することが、真の男女平等参画社会の姿である。
 政治・行政の場では、男女双方が参加して、その意思が政策形成に反映されることが重要であり、議会や審議会などで女性の議員や委員の増加が図られるべきである。
 経済的な側面から見ると、雇用の場などにおける男女の格差に照らし、女性に採用や昇進の平等な機会が積極的に確保されなくてはならない。経済的な基盤は、自立のために重要な要素である。
 働く女性の数は近年増加しており、女性の職域も若干拡大した。しかし、女性が働き続けるための条件整備は十分ではなく、男女間の職種、仕事上の地位、雇用形態には大きな違いがみられる。雇用の分野での男女平等参画はあまり進んでいない。

 こうした現状を改善するため、都は、一定規模以上の事業者に対して、女性の参画状況についての報告を求め、その結果を公表し、必要に応じて、事業者に対して、助言、指導などの働きかけを行うこと。
 都は、あらゆる場における政策・方針決定過程への男女平等参画を促進するための取組みを進めること。

 当協議会は、この場合の取組みとして、女性の参画計画を策定したり、具体的数値目標を設定し実現するなど、平等参画促進に積極的な事業者に対する表彰なども有効と考える。

6 性別による権利侵害の禁止

 男女平等参画を推進するためには、人がすべて個人として尊重されることが前提となる。すべての人は性別により差別を受けることがあってはならない。特に女性に対するセクシュアル・ハラスメント(性的行為の強要又は性的な言動による生活環境の侵害)や暴力は、女性の活動を束縛し、自信を失わせ、男女平等参画を阻害するものである。
 セクシュアル・ハラスメントは、雇用の場に限らずいかなる場においても、被害者の人権を著しく傷つける行為である。
 また、近年、夫から妻への暴力被害が社会的に認識されつつある。暴力は、家庭の外か中かを問わず、行ってはならないものである。しかし現実には、家庭の中で起きた事柄については警察等が介入する際にも制約があり、実際に起きている暴力の実態に十分対処できていない。これらを考慮すると、条例でその禁止を明記し、人権侵害であるとの認識を高めることには大きな意義がある。

 以上を考慮して、条例ではまず第一に、あらゆる場において、性別を理由とする差別的取扱いをしてはならないことを規定すること。この場合の差別的取扱いは、直接的な差別だけに限定されず、間接的な差別をも含んで解釈されるべきである。
 また、職場、家庭、学校、地域社会等において、セクシュアル・ハラスメントをしてはならないことを規定すること。
 夫から妻への暴力は、人権侵害であり、行ってはならないと規定すること。この場合の夫もしくは妻は、法律上の婚姻関係にあるものに限定するものではない。

 当協議会は、以上の規定に関連した取組みとして、都と区市町村等が協力・連携し、性別による権利侵害の防止に向けた啓発を行うこと、セクシュアル・ハラスメントや暴力などの被害を受けた者に対する相談及び自立支援等必要な措置を講じることを要望する。

7 審議会

 都は、男女平等参画に関する基本的事項を調査・審議し、知事に対する意見具申等を行うため、知事の付属機関として審議会を設置すること。
 委員の任期は2年とする。また、委員選任にあたっては、男女のいずれか一方の性が委員総数の4割未満とならないようにすること。

8 都民からの申し出

 都民は、男女平等参画の推進を阻害すると認められるものがあるとき、又は男女平等参画の推進に必要と認められるものがあるときは、知事に申し出ることができるようにすること。
 申し出を受けた知事は、必要と認めるときは、適切な対応を講じること。

 この申し出及び適切な対応について、当協議会は、以下のような点から検討を進めることを要望する。
 知事に対する申し出の内容としては、行政の施策に関する苦情と、私人間の差別に関する苦情との両面がある。これらに関しては、現在でも、行政機関の窓口における相談や、都、国などにおけるいくつかの苦情・紛争処理のための機関が、それなりに解決機能を果たしているところである。
 例えば都では、労働分野の苦情については「職場における男女差別苦情処理委員会」が20年近い実績を持つ。また、女性に対する暴力の分野では、関係機関連絡会が設置され、被害女性の保護などに関して機関相互の連携が図られようとしている。
 とはいえ、行政の相談窓口や苦情等処理機関による救済・解決は、1か所ですべての事項を網羅できるわけではなく、また迅速性と効果という側面から評価しても、まだ十分であるとはいえない。
 したがって、都は、今後、現在の相談機関の機能を拡充することや、相談にあたる各種機関の十分な連携を図ることにより、これまで解決が困難であった事例に対応していくことが不可欠である。
 また、男女平等参画を阻害する深刻かつ重大な状況や、新たに生じる課題に対応するために、行政から独立した専門的立場から判断を行い、意見を表明する等の機能を果たす組織についても今後検討すべきである。

おわりに

 以上、男女平等参画推進のために条例に盛り込むべき事項について、
1998(平成10)年12月に本協議会でとりまとめた「検討骨子」を基に、都民意見を踏まえて報告するものである。
 条例、そして行動計画に基づいて実施される男女平等参画を推進するための施策は、広範な行政分野にわたっている。条例制定の効果を十分に発揮するためには、広範にわたる施策の推進体制を、都がどのように確立し、総合調整を図っていくかが、大きな鍵となる。
 都は、知事のもとで、男女平等参画に関し、各局にわたる施策を推進する体制を整えているが、基本理念を掲げるのみではなく、条例が定める男女平等参画を確実に実行していくため、全庁的な総合調整機能をさらに充実強化していく必要がある。
 NPO等との関係についてもふれておきたい。近年、NPO等は、女性が抱える問題の解決に向けた実践的かつ先進的な取組みを行っており、とくに第3の6で述べた暴力の問題などでは、独自の工夫ときめ細かい対応によって重要な役割を果たしている。今後、あらゆる分野で行政とNPO等の連携は重要性を増してくるであろう。男女平等参画の分野でも、行政は、NPO等との協力や、NPO等への支援を通じて、より一層連携を強化しながら事業を推進していくことが望まれる。
 長い間、男女平等参画は実現されてこなかった。社会の隅々には、なお男女平等参画を阻害するような意識や慣行が生き続けている。これらは、本条例の制定だけで解消されるものではない。本条例は、男女平等参画について理解するきっかけを提供し、男女平等参画社会を実現するための活動を支援していくものである。
 都民一人ひとりが、男女平等参画の意義を理解し、女性も男性も、自らの意思で、また自らの責任において、男女平等参画社会の実現をめざして行動することによって、真に調和のとれた豊かな社会が形成されるのである。

このページに関するお問い合わせ先

都民生活部  男女平等参画課