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東京都は、「誰もが自らの生き方を性別にとらわれず選択できる社会の実現」に向けた取組の強化を行っています。こうした取組の強化の一つとして、都庁職員が広報物を制作する際に、広報物の目的や文脈に応じた表現を考える際の指針とする、「男女平等参画の視点に基づく公的広報物ガイドライン」(以下「本ガイドライン」という。)を策定しました。
広報物は多くの人の目に触れるものであり、制作者が意図しない形で、性別に関する固定的なイメージを助長してしまう可能性があります。
本ガイドラインは、個々の表現の良し悪しを一律に定めるものではなく、広報物を制作する際に、目的や文脈に応じてより適切な表現を検討するための考え方やチェックポイントを示すものです。広報物全体を通して、「特定の性別に偏った印象を与えていないか」「性別による固定的な役割分担をイメージする表現になっていないか」といった点を振り返り、表現がどのように受け取られる可能性があるかを検討することが重要です。
都は、本ガイドラインの活用により、職員一人ひとりが多様な視点を踏まえた情報発信を行うことで、誰もが自分らしく活躍できる社会の実現を目指してまいります。
1 本ガイドライン策定の背景
東京都が実施した調査(※1)では、メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等)から、「男らしい」「女らしい」という情報発信を感じたことがある人が、回答者の約5割となっています。
また、高校生を対象とした調査(※2)でも、インターネット・SNSから「男らしい」「女らしい」という情報発信を感じたことがあると、約4割の人が回答しています。
こうした性別のイメージを固定化するような表現が、進路選択や職業選択をはじめとする将来の意思決定に対し、一定の影響を与えるとされています。
こうした状況を踏まえ、都は、職員が広報物を制作する際に、固定的性別役割分担や性別に関する偏ったイメージを助長しないよう確認するための指針として、本ガイドラインを策定しました。
※1 令和7年度「男女平等参画に関する世論調査」
※2 令和5年度性別による「無意識の思い込み」に関する実態調査
2 主な内容
〇イラスト・写真等の視覚表現について
・人物の描写が性別によって固定化されていないか
・性別によって役割を決めていないか 等
〇文章・用語等の言語表現について
・特定の性別を前提とした表現になっていないか
・性別に関して上下関係や優劣、固定的性別役割分担を感じさせる表現になっていないか 等
〇制作過程全体について
・制作プロセスの各段階で、性別や立場の異なる複数の人が関わり、多様な視点から確認しているか 等
3 本ガイドラインに対する有識者のコメント
本ガイドラインの策定に当たっては、有識者の方々からご意見をいただきながら検討を進めてきました。 以下では、策定過程においてご意見をいただいた有識者の方々からのコメントを掲載します。(敬称略)
立正大学心理学部教授 上瀬 由美子
公的広報物は社会のあり方を映しどうあるべきかを人々に示す機能をもっています。 性別カテゴリーは人を分類し特徴や違いを示すために容易に用いられがちですが、その繰り返しが役割の固定化、順位づけや選別につながります。 性別に関わる固定化されたイメージの再生産を防ぐために、東京都が広報物のガイドラインを示したことは重要です。 人物を描かない表現の検討、アンケートや申請書における性別欄の必要性の検討など、近年の社会の変化に対応した具体的な提案も含まれています。 本ガイドラインは男女平等参画の視点から作成されたものですが、さらに多様な視点や選択肢を伝えられる広報のあり方を東京都に期待します。
アトリエ・アンソロポロジー合同会社 代表 / 多摩美術大学美術学部リベラルアーツセンター 教授 中村 寛
文化人類学の視点から見ると、公的広報物は社会の価値意識を映し出すと同時に、それらをつくり直す力を持っています。 そのような広報物を念頭に置いた今回のガイドラインは、ジェンダー表象について完璧な「正解」を示すものではありません。 あくまで「はじめの一歩」です。制作にかかわる人たちはもちろん、日本語圏にいる私たちが無意識に抱くバイアスに気づき、それを生み出す制度について、「他者」や「仲間」と対話を深めるためのツールとして活用されることを願っています。 一見些細に思える日々の表現を見直すことは、この社会で育つ子どもたちの10年後のまなざしや選択肢に、やわらかく、深いインパクトを残すはずです。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 CDIO・主席研究員 / 第7期東京都男女平等参画審議会委員 矢島 洋子
行政の広報物を制作する際、作成者は性別に関して固定的なイメージや偏った印象を与えないよう配慮したいと考えていると思います。 しかし、どう配慮してよいかがわからないために、過度な配慮をし過ぎて、特定の性別に向けて情報発信する必要がある場面でも躊躇してしまったり、目的に即してわかりやすいイラストを作成することを避けてしまうかもしれません。 また、調査等での性別確認のマイナス面ばかり気になり、重要な男女別統計の拡充が進まない可能性もあります。大切なのは、制作過程にも多様な視点を入れ、目的に照らして検討を行うことです。 本ガイドラインが作成者のみなさんの心理的安全性の向上につながることを期待しています。
一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 代表理事 守屋 智敬
公的広報物は、多くの人の目に触れ、社会に向けたメッセージを発信する重要な役割を担っています。
今回、東京都が、公的広報物の表現がどのようなメッセージとして受け取られるのかという視点を改めて問い直し、
その表現が次世代の子どもたちの進路や職業選択等にも影響を及ぼし得ることに着目した点は、本ガイドラインの大きな意義の一つであると考えます。
日々の広報における表現の積み重ねが、誰もが性別にとらわれることなく、自らの可能性や将来を思い描ける社会の実現につながることを願っています。