匿名・流動型犯罪グループについて
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匿名・流動型犯罪グループ(=通称トクリュウ)について
匿名・流動型犯罪グループ(=通称トクリュウ)とは
暴走族の元構成員等を中心とする集団に属する者が、繁華街・歓楽街において、集団的又は常習的に暴行、傷害等の事件を起こしている例がみられるところ、こうした集団の中には、暴力団のような明確な組織構造は有しないが、暴力団等の犯罪組織との密接な関係がうかがわれるものも存在しており、こうした集団を、暴力団に準ずる集団として「準暴力団」と位置付け、取締を強化してきました。
こうした中、SNS等を利用して実行犯を募集する手口により特殊詐欺や強盗等を広域的に敢行する集団がみられ、治安上の脅威となっています。これらの集団は、暴力団と異なり、SNSを通じるなどした緩やかな結びつきで離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的であり、また匿名性の高い通信手段等を利用しながら役割を細分化したり、特殊詐欺等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を基に、さらなる違法活動や風俗営業等の事業活動に進出したりするなど、その活動実態を匿名化、秘匿化する状況が見られます。
このような準暴力団を含むこうした集団を「匿名・流動型犯罪グループ」(=通称トクリュウ)と位置づけています。
暴力団との違い
暴力団と何が違うのか
【暴力団】
暴力団対策法や暴力団排除条例により、規制できる。
代表者を頂点としてピラミッド型の組織構造を有しており、絶対的な上下関係がある。
暴力団特有の掟がある。
【匿名・流動型犯罪グループ(準暴力団を含む)】
暴力団対策法や暴力団排除条例などの法律の規制対象外
犯罪ごとに離合集散を繰り返すなど、明確な組織構造を有しておらず、実態が分かりづらい。
暴力団特有の掟等に縛られず、若者が加入する敷居が低いが、一度関わってしまうと逮捕されるまで利用される。
【暴力団と匿名・流動型犯罪グループとの関係】
匿名・流動型犯罪グループの中には、資金の一部が暴力団に流れているとみられるものや、暴力団構成員をグループの首領やメンバーとしているもの、暴力団構成員と共謀して犯罪を行っているものも確認されています。
匿名・流動型犯罪グループが関与する事件をみると、中心的な人物が、自らに捜査が及ぶことのないようにするため、匿名性の高い通信手段を使用して実行犯への指示を行い、犯罪の実行者は、SNSなどでその都度募集され、検挙されてもすぐに新たな者が募集されるなど、流動化しているという特徴がみられます。
最近の傾向、よくある手口
特殊詐欺(受け子、出し子、架け子)
SNS型投資・ロマンス詐欺
悪質なリフォーム業者による詐欺等
強盗・窃盗
繁華街・歓楽街における多様な資金獲得活動(性風俗店、賭博店経営、違法スカウトなど)
トクリュウに関わらないために
匿名・流動型犯罪グループは、犯罪を敢行するに当たって、SNS等において、「高額バイト」等の表現を用いたり、具体的な仕事の内容を明らかにせずに高額な報酬の支払を示唆したりするなどして、犯罪の実行犯を募集している実態が認められます。
同グループは、このような犯罪の実行犯を募集する情報への応募者に対して、あらかじめ運転免許証や顔写真入りの身分証明書等の個人情報を匿名性の高い通信手段を使用して送信させることで、応募者が犯行を躊躇したり、グループから離脱しようとした場合には、把握した個人情報を利用して脅迫するなどして服従させ、実行犯として逮捕されるまで繰り返し犯罪に加担させるなどの状況が見られます。
特に目先の利益を手に入れるためアルバイト感覚でこれに応募した青少年が、「指示されるままに次々と犯罪を敢行したが、報酬は一切支払われなかった」、「犯罪グループから警察に密告され逮捕された。」といった事例に見られるように、犯罪グループは青少年を「使い捨て」として都合よく利用している実態が認められます。
「高額バイト」、「即日支払い」、「学生可能」などの募集を見かけても安易に申し込まず、具体的な仕事内容や怪しい言葉はないかなど、色々と調べることで犯罪から自分自身を守るための知識を身につけましょう。万が一関わってしまった場合でも1人で悩まず、身近な人に相談する勇気を持ちましょう。
関わってしまった少年達の声
ここからは、実際に 匿名・流動型犯罪グループ等の犯罪集団と関わり、警察に逮捕された少年達の声を紹介します。
- 1回だけなら大丈夫だろう、と思い手を出してしまったが、その後もグループから脅されて抜け出せなかった。
- 詐欺だとわかった時には、自分の個人情報を送ってしまい、相手から脅された後だったので、やるしかなかった。
- 「今後も犯行グループからしつこく誘われるのではないか」「家族に影響が及ばないか」と思うと不安で仕方ない。
- 「受け子」などの紹介をしてくるヤツは「お前が一番かわいい後輩」「お前しかいない」「稼げる」「本当は教えたくないけど、お前だから紹介してやる」など、言葉巧みに持ち上げてくるが、裏ではパシリにしか思われていないのが現実。
関わってしまったきっかけ
匿名・流動型犯罪グループと関わってしまい、犯罪行為に加担するまでの流れには、いくつかのパターンが存在しますが、ここでは基本的なパターンの代表例を紹介します。
最も多くみられる基本的なパターンとして
- 自らSNSで「高額報酬」等を検索・応募
- 犯行グループから連絡が入り、以降、匿名性の高いアプリでやり取りをするよう指示される
- 犯行グループに言われるがまま、個人情報を送信
- 犯行行為への加担を拒否すると、個人情報を基に脅迫される
という流れになります。
この他にも、先輩・知人に誘われ(紹介され)たり、借金をして返済が厳しくなった時に、返済する代わりとして加担させられてしまうパターンも多いです。
最初は、荷物を運ぶ、自分のキャッシュカードを渡す(口座を渡す)、携帯電話の名義を貸すなど、一見するとリスクが低そうな犯罪行為をしてしまうことで、その行為を基に相手に脅され、より危険な犯罪に加担させられる、というケースも見受けられます。
脅された実例
次は実際にどのようにして脅されたのか、先ほどの少年達の声から紹介をします。
- 詐欺だと気付き「辞めたい」と言ったら「家族全員殺すぞ」などと脅された。
- 2回目の「仕事」を断ったら「この前の荷物は、老人から騙し取ったお金だ。お前はもう詐欺に加担した。顔写真や住所を知ってるので逃げられない」と脅された。
- 「受け子」の仕事とわかったが、犯行グループから「逃げたらこうなるよ」と男が殴られてる動画が送信されてきて怖くなった。
このようにならないためにも、犯罪行為の裏には 匿名・流動型犯罪グループ等の犯罪集団が存在していることなど、仕組みや実態を正しく理解し
こういった犯罪行為や犯罪集団には関わらないこと
関わってしまった場合、更なる重大犯罪へ加担させられる前に、勇気をもって警察へと相談すること
が何よりも大切です。
※このページは、警察庁「犯罪実行者募集の実態(令和5年7月)」を参考に作成しています。
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